クリエイター

雑魚戦の必要性【#面白いゲームの作り方】

各種のゲーム、特にRPGには、
雑魚と呼ばれる敵が配置されています。

プレイヤーの立場からすれば
あって当然のようなものですが、
作る側としてはどうでしょうか。

もしあなたがRPGを作っているとして、
きっと雑魚敵をいろいろなところに
配置すると思いますが、
それは何のためですか。

もしかして、
特に意味もなく、
他のゲームでも配置されているから
という曖昧な理由で配置していませんか。

ゲームに実装される要素は
全てが何らかの必然性を
持っているべきです。

何となく実装された要素は
面倒、邪魔、空気など、
マイナスな反応を生みがちです。

この記事では、
なぜ雑魚戦が必要なのか、
必要ない場合はあるのか、
あるとすればどんなときか
を考察していきます。

RPGにおける雑魚戦

RPGの代表格ドラゴンクエストでは、
フィールドやダンジョンを歩いていると
スライムをはじめとするモンスターが現れて
戦闘になります(ランダムエンカウント)。
最近ではフィールド上を歩いている
シンボルに接触すると
戦闘になるものもあります(シンボルエンカウント)。
これらは、戦闘に入る流れが違うだけで、
基本的には同じものであると考えられます。

さて、
RPGにおいて
雑魚戦を実装している理由は
なんでしょうか。

それは、
継戦リソースの消耗と
成長リソースの獲得です。
(どちらも私の造語です)

継戦リソース

継戦リソースは、
戦闘を継続するため、あるいは
ダンジョンなどの探索を継続するための
リソースです。
狭義にはHPを指しますが、
広義にはHPを回復させたり、
戦闘を短時間で終わらせることで
HPの消耗を減らしたりする
MPや回復アイテムもこれに含まれます。

ダンジョンなどの探索には
基本的に継戦リソースが必要で、
長く探索を続けるには
より多くの継戦リソースが必要になります。
また、ゲームの進行に伴って、
探索する時間当たりの必要リソースは
増加していきます。

継戦リソースは
町や基地となる場所で
補給することが可能です。

成長リソース

成長リソースは、
その名の通りキャラクターを
成長させるために必要なリソースです。
狭義には経験値を指しますが、
スキルポイントや強化素材、装備、
もっと広義にはお金も成長リソースと言えるでしょう。

成長リソースは基本的に、
ダンジョンなどの探索で得ることができます。

雑魚戦の存在意義

さて、気がついたでしょうか。

ここまでで
継戦リソースと成長リソースについて説明をしましたが、
その中で私は一度も雑魚戦という言葉を使用しませんでした。

これは、
RPGにおける成長リソースの
主な獲得手段が雑魚戦であるにも関わらず、
リソースの獲得手段が
雑魚戦である必要がない
ことを示しています。

同時に、
継戦リソースを消耗させる手段もまた、
雑魚戦である必要がないことを示しています。

この事から、
RPGに雑魚戦を実装する理由が
継戦リソースの消耗と成長リソースの獲得しかないのであれば、
雑魚戦を実装する意味はないということになります。

では、
継戦リソースの消耗と成長リソースの獲得以外に、
雑魚戦を実装する意味はあるのでしょうか。

成長の実感

プレイヤーが成長するにしたがって、
雑魚戦にかかる時間は短くなり、
継戦リソースの消耗は少なくなります。

ある程度キャラクターが成長しきると、
一撃で雑魚戦を終わらせることもできるようになります。

キャラクターの成長に伴う継戦リソースの消耗を
パラメータ上少なくすることはできますが、
無為に時間をかけさせるのは、
それこそ無駄で邪魔な要素になります。

雑魚戦が簡単に終わらせられるようになるのは、
非常に有効な成長の実感と言えるでしょう。

一方で、
ちゃんと成長が実感できるように
うまくパラメータを調整する必要があります。
30分かかった戦闘が29分になった程度では
全く成長が実感できません。
しかし、1分が30秒になったなら、
かなりの成長を実感できるでしょう。

また、戦闘にかかるターン数の減少も、
成長を実感する要素としては大きいでしょう。

世界観の表現

RPGでは、
多くの作品で
非常に広大な世界を旅することになります。
そんなとき、
行く先々で同じモンスターが出てくることは
あまりないと思います。

地域によって異なる動植物が生息しているように、
RPGの世界では地域によって
異なるモンスターが生息しています。
この傾向は特にダンジョンで顕著で、
墓場にはアンデッド、
火山には溶岩、
雪山には氷のモンスターが生息していて、
それぞれの場所を特徴付けるために
モンスターが利用されています。

あえて説明することなく
その場所の特徴が把握できるという点で、
有効な方法と言えるでしょう。

また、モンスターの傾向がはっきりしていれば、
対策をとりやすくなります。
対策をとったことにより
戦闘を有利に運べるようになれば、
前述の成長の実感にも繋がり、
相乗効果で雑魚戦の存在意義が生まれるでしょう。

雑魚戦実装の注意点

ここまでで、雑魚戦の目的、存在意義について説明しました。
これらに沿って実装していけば、
少なくとも雑魚戦が無意味なものに
なってしまうことはないでしょう。

しかし、
雑魚戦は行われる回数が非常に多いため、
バランスの取り方によっては
とても面倒なものになってしまう危険があります。
それを避けるには、いったいどんなところに
気を付けるべきでしょうか。

強くしすぎない

敵が強いと、必然的に一回の戦闘にかかる時間が長くなります。
何百回と行われる雑魚戦で時間がかかるのは、
プレイヤーにとってかなりの負担になります。
最終的に2ターンくらいで戦闘が終了するように調整しましょう。

もしもアクセントとして強い雑魚を登場させる場合、
いっそ戦う気が起きないくらい強くするか、
弱点をつけばすんなり倒せるかにしましょう。
中途半端に強くするとかなりのストレスになります。

弱点を分散させ過ぎない

敵に弱点を設定している場合には、
その弱点があまりにも分散しすぎないようにしましょう。

弱点が分散していると、
戦闘メンバーの持つ属性で
弱点が突けない場合が出てきます。
また、弱点が突ける場合でも、
全体攻撃が一部のモンスターの弱点しか突けないため、
爽快感が小さくなってしまいます。

弱点があるにも関わらず弱点を突くことができないのは、
弱点がない場合よりもプレイヤーにとってストレスになります。

弱点を突くことで成長している感を得ることができるので、
ほどほどに弱点属性は揃えるようにしましょう。

雑魚戦は必要か

あってもなくてもいいと思いますが、
個人製作のゲームにおいてはない方がいいかもしれません。

雑魚戦をちゃんと実装するということは、
それだけたくさんのモンスターの
設定をしなければならないということです。

グラフィック、ステータス、スキル、名前、行動パターン、
設定するべき項目は山ほどあります。
ただでさえモチベーションの維持が大変な個人製作において、
雑魚の設定はシナリオに絡んでくるでもなく、
ただ流れていくだけのものです。

実装するのであれば覚悟を持って臨みましょう。


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