漫画「鬼滅の刃」の登場人物霞柱・時透無一郎の強さについて考察する。
なお、単行本未掲載話(176話)までのネタバレを含むので、未読の方、単行本派の方はブラウザバックしていただくか、それを承知の上でお読みいただきたい。
目次
概要
鬼殺隊最強の剣士「柱」の一人。
肩書は霞柱(かすみばしら)。
始まりの呼吸の剣士の末裔であるとされる。
初登場は第6巻45話。
鬼殺の剣士
鬼殺隊に所属する剣士。
多くの剣士が全集中の呼吸を習得しており、柱である無一郎も例外ではない。
日輪刀
鬼殺の剣士が所有する刀。
太陽の光を吸収した鉱石から作られる。
鬼を殺すことのできる唯一の武器。
日輪刀で頸を斬ることで鬼を殺すことができる。
持ち主の呼吸への適性によって色が変わる別名「色変わりの刀」。
無一郎の日輪刀の色は「白」。
柱の中には異形とも言える形状の日輪刀を持つ者も少なくないが、無一郎の日輪刀は至って普通の形状の日本刀である。
柱
鬼殺隊の中でも最高位の実力者を指して呼ぶ肩書である「柱」。
中でも無一郎は14歳という若さで、かつ刀を初めて握ってたった2か月で柱に上り詰めた。
始まりの呼吸の剣士の末裔
かつて鬼舞辻無惨の頸を斬る一歩手前までいったという「始まりの呼吸の剣士」の末裔であるとされている。
上述の圧倒的な成長速度は「始まりの呼吸の剣士」の末裔であるためであろうか。
戦闘技能
基本的には鬼殺の剣士の持つ戦闘技能に準じるが、「柱」である無一郎は、技の威力や精度が他の隊員とは比較にならないほど高い。
- 全集中の呼吸
- 霞の呼吸
- 全集中・常中
- 痣の者
- 透き通る世界・至高の領域・無我の境地
- 赫刀
全集中の呼吸
鬼殺隊員の身につけておくべき基本技能であると同時に、鬼を殺すための必殺の奥義。
大量の酸素を取り込むことで一時的に身体能力を向上させることができる。
その効果は、人でありながら鬼のように強くなれるともいわれる。
霞の呼吸
風の呼吸から派生した呼吸。
霞の名の通り、姿をくらまし、その隙に攻撃する型を複数持つ。
壱ノ型 垂天遠霞(すいてんとおがすみ)
突き技。
刃毀れした刀で放ったが、上弦の伍・玉壺の血鬼術「水獄鉢」を貫くことはできなかった(第14巻117話)。
弐ノ型 八重霞(やえかすみ)
斬撃を連続して放つ技。
前述の「水獄鉢」を斬って脱出した(第14巻117話)。
参ノ型 霞散の飛沫(かさんのしぶき)
刀を振り、回転を生み出すことで周囲の物体を弾き飛ばす技。
上弦の伍・玉壺の血鬼術「一万滑空粘魚」を斬ってまき散らされた毒の体液を一撃で全て吹き飛ばした(第14巻120話)。
肆ノ型 移流斬り(いりゅうぎり)
相手の足元に滑り込み、斬り上げる技。
上弦の肆・半天狗に放ったが頸を落とすことはできず、顔に傷をつけた(第12巻106話)。
伍ノ型 霞雲の海(かうんのうみ)
回避と攻撃を同時に行いながら突撃する技。
上弦の伍・玉壺の血鬼術「蛸壺地獄」の全てをかいくぐり、蛸足をバラバラに刻んだうえ、玉壺の頸に傷をつけた(第14巻119話)。
陸ノ型 月の霞消(つきのかしょう)
圧倒的な速度と広大な攻撃範囲を持つ技。
上弦の伍・玉壺の血鬼術「一万滑空粘魚」で生み出された一万匹の魚全てを瞬時に斬り捨てる速度と攻撃範囲を持つ(第14巻120話)。
漆ノ型 朧(おぼろ)
動きに大幅な緩急をつけ、敵を攪乱する技。
上弦の伍・玉壺でさえ緩急の「急」の速さを見切ることができず、頸を斬り落とされた(第14巻121話)。
また、頸を斬り落とされた後、自分の頸が地面に転がるまで気づかないなど、技の鋭さも相当なものである模様。
全集中・常中
四六時中全集中の呼吸を行うことで、基礎体力を飛躍的に向上させる。
直接の戦闘技能ではないが、「柱への第一歩」と言われるほどに重要な技能。
作中の描写はないが、柱である無一郎も習得しているものと思われる。
なお、作中で習得した炭治郎曰く「長くやろうとすると死にそうになる」らしく、平然と全集中・常中を維持できる柱の基礎体力の高さがうかがい知れる。
痣の者
上弦の伍・玉壺との戦闘中に発現した痣(第14巻118話)。
かつての始まりの呼吸の剣士にも発現していたと言われ、痣の発現中は戦闘能力が格段に向上する。
上弦の鬼を単独で撃破することができたのも、痣の発現による戦闘能力の向上によるところが大きいと思われる。
痣の発現中は体温が39度以上、心拍数は200以上にもなるとみられていて、柱の高い基礎体力があればこそであると思われる。
透き通る世界・至高の領域・無我の境地
敵の体を透かして見ることで、その行動を高精度で予測することができるようになり、攻防ともに高い精度で行動することができるようになる。
無一郎は上弦の壱・黒死牟との戦いの最中に透き通る世界に到達し、月の呼吸による飽和攻撃を見切って回避、刀を突き刺し、黒死牟に取り付いた(単行本未収録173話)。
赫刀
竈門炭治郎の爆血刀、耳飾りの剣士・継国縁壱の刀が赤く染まったのと同じ現象。
上弦の壱・黒死牟との戦いで体に取り付いた後、下半身を斬り飛ばされもはや絶体絶命になったときに覚醒した力。
黒死牟の体が強張るほどに内臓を灼かれるような激痛を与えた(単行本未収録175話)。
ヒノカミ神楽、爆血刀と同じく、太陽光に関連する何らかの性質を持つと思われる。
総評
作中の描写が確認できる鬼殺隊員の中で、最強と言っていい実力を持つ。
柱+数人でようやく互角、かろうじて勝利することができるほどの実力を持つ上弦の鬼を、負傷した状態で単独で撃破するなど、これまで描写された柱の実力の一歩以上先を行く戦闘能力を持つ。
負傷しながら単独で上弦の鬼を撃破したことが「異常事態」であることからも、無一郎の実力の高さがうかがい知れる。
しかし、無一郎の実力をもってしても上弦の壱・黒死牟には
- 一太刀も入れることができず
- 左腕を斬り飛ばされた
- 剣技を素手で止められ
- 刀を奪われて磔にされる
など、圧倒的な実力差を見せつけられている。
一方で黒死牟の使う月の呼吸の剣技は、風柱・不死川実弥が「長い経験で培われた感覚がなけりゃ無理だ」「時透がやられる筈だ」と評価するかなり変則的なものであり、あまりに早く柱になってしまったがために戦闘経験が少ない無一郎とは相性が悪かったと言える。
黒死牟との実力差こそあるものの、鬼殺隊屈指の実力を持つことに変わりはないが、同じく片腕を失った音柱・宇随天元が柱を引退していることから、決戦後は柱を引退する可能性もある。
しかし、天元は二刀流であったのに対し、無一郎は一刀流であるため、片腕を失っても天元ほどには戦闘能力が落ちず、引き続き柱として戦っていけるかもしれない。
と思われたが、左手を失い、柱に磔にされた結果、相当な重傷を負っており、無一郎が地震で間もなく失血死するであろう判断をするほど。
満身創痍の中黒死牟との戦いでは風柱・不死川実弥、岩柱・悲鳴嶼行冥のサポートに回り、身を挺して戦闘に参加。
その結果、先の左手だけでなく、
- 黒死牟の動きを封じるために月の呼吸をかいくぐって取り付く際に左足を切断される
- 黒死牟の体に生えた刀から放たれた月の呼吸の剣技で胴を両断され、下半身を失う
- 赫刀化で動きを封じ、行冥が黒死牟の頚を落としたのち、手刀で右腕を切断される
など、満身創痍を通り越した重症である。
まだ明確に生死確認されていないため厳密には生死不明の状態だが、もはや生存は絶望的。
それでも、傷を負い、もはや生き残ることができないと判断してからの決死の覚悟の元で開花した力は、黒死牟への止めに繋がる血路を切り開いた。
ある意味で、最年少ながら鬼殺隊員の持つ「自らが死んでも鬼は殺す」メンタリティを最大限に体現した存在だと言える。