竈門炭治郎(かまどたんじろう)
初期は水の呼吸を主力として戦っており、呼吸の柔軟性と味方との連携もあり、力不足もありつつ何とか戦いを進めていた。
十二鬼月との戦闘になると力不足が明確に露呈することになるが、ヒノカミ神楽の戦闘への転用をきっかけに、それまで水の呼吸で歯が立たなかった相手にも一矢報いることができるようになった。
この頃からの成長度合いはすさまじく、
など、短期間のうちに爆発的な成長を遂げ、単独でこそないものの、上弦の鬼を三体撃破するに至った。
そして無惨との最終決戦においてヒノカミ神楽を昇華させ、ついに日の呼吸を完全習得した。
一方で、ヒノカミ神楽初使用時から常に付きまとっているのが持久力の低さ。
足りない実力を強力な技で補うために、どうしても体への負担の大きい技を使用する必要があり、強力な力を持つ鬼との戦いにおいては、鬼との戦いであると同時に己自身の体力との戦いでもあった。
全集中・常中の習得による基礎体力の向上はあるものの、ヒノカミ神楽の技の連発により体力を消耗し、度々戦闘に支障をきたしてきた。
半天狗戦以降はヒノカミ神楽の技を連続使用しても簡単には体力が尽きることはなくなったが、猗窩座戦において透き通る世界への到達により更なる戦闘能力を獲得した結果、再び体力の限界に到達することとなった。
瞬間的な戦闘能力においては柱にも劣らず、むしろ柱すら超えていると言えるが、基礎体力の低さが災いして、高い戦闘能力を維持することができないため、総合的には柱に一歩劣るくらいの実力であると言える。
瞬間的には鬼殺隊の最大戦力になりうるポテンシャルを秘めていることから、課題はとにかく基礎体力の強化に尽きる。
一方、作中で言及されているように「近道がない」ため、一足飛びに柱と同等の実力をつけることが叶わないため、現実的には使いどころを見極めながら強力な技を使用していくしかない。
水柱・冨岡義勇(とみおかぎゆう)
第1巻1話より登場している読者視点で最古参の剣士。
初めてのまともな戦闘シーンは下弦の伍・累との戦闘だったが、炭治郎が全ての力を出し尽くしても届かなかった十二鬼月を相手に、柱としての圧倒的な実力をいかんなく発揮し、瞬殺した。
義勇自身は最終選別で錆兎に庇われたことが負い目で自己評価が低いものの、柱の名に違わぬ極めて高い実力を誇り、特に水の呼吸の柔軟性を活かした防御能力は格別である。
他の柱の中でも特筆すべき事項が、水の呼吸拾壱ノ型・凪である。
独自の呼吸法を編み出した柱は複数人いるが、古くから伝わっており完成度の高い基本5系統の呼吸法の新たな型を編み出したのは、柱の中では義勇だけである。
日輪刀の色から見る呼吸への適性、独自の型を編み出すセンスなど、歴代の水の呼吸の使い手の中でも最高峰の実力を持つと言っても過言ではない。
炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)
義勇、しのぶに続いてその実力を披露した柱であり、初めてその全力を発揮した柱でもある。
作中当時の剣士の中でも、トップクラスの実力を持っていたと言える。
下弦の壱・魘夢と間接的な戦闘となった無限列車での戦いでは、炭治郎、善逸、伊之助、禰豆子が魘夢本体や客車三両分の乗客を守りながら戦っている間、目覚めてすぐに戦況を把握、炭治郎たちに指示を出しながら単独で五両分の乗客を守りながら完全に抑え込むなど、柱の実力をいかんなく発揮した。
人質がいなければ魘夢程度瞬殺であったと思われるが、下級隊士に的確な指示を出し、自身も大量の人質を守りながら戦うなど、純粋な戦闘能力だけでなく指揮能力、リーダーシップにも優れた極めて優秀な隊員であったと評価できる。
杏寿郎が全力を披露したのは、炭治郎が魘夢に止めを刺した直後現れた上弦の参・猗窩座との戦い。
初めて登場した上弦の鬼である猗窩座に一歩も引かない戦いを展開したが、再生能力の差から徐々に傷を負い、最終的には満身創痍となった。
しかしながら、煉獄を放ち、破られてもなおその戦意は衰えず、猗窩座の頚に刃を立て、猗窩座を事実上の敗走に追い込んだ。
物語後半には痣の発現により戦闘能力を向上させる者も多く出て、単独でも上弦の鬼と互角の戦いを演じる者も出てきたが、痣の発現なしに単独で上弦の鬼を追い込んだ柱は杏寿郎をおいて他にはいない。
上弦の参・猗窩座(あかざ)
上弦の参の肩書に恥じない圧倒的な強さを誇るが、これまで出てきた鬼たちとは何かと趣が異なる。
まず、基本の戦闘スタイルが徒手空拳による近接戦闘であり、血鬼術を戦闘の中心とする鬼が多くいる中で、かなりの異端である。
長い歳月をかけて培われた高い戦闘能力のため、ただシンプルに強くて速いという、最も攻略するのに骨が折れるタイプの戦法である。
しかもそれにとどまらず、破壊殺・羅針による闘気の感知により、敵の攻撃に対する反応が異常に速く、まともに攻撃を加えるだけでも一苦労である。
また、闘気の感知の精度に加えて相当な器用さを併せ持ち、
- 振り下ろされる刀を白刃取りする
- 背後から斬りかかられた刀を後ろを向いたまま指で掴み取る
- 振り下ろされる刀を側面から殴り折る
など、瞬時の判断が要求される場面で尋常ではない精密動作を行っている。
闘気の感知と精密動作が合わさったことにより、持ち前の高い身体能力と戦闘技術により繰り出される攻撃が、ただ強く、速いだけでなく、やたらと正確な攻撃へと変貌し、通常であればただ強力なだけの攻撃全てが一撃必殺の重みをもつ。ゲームで例えるなら、全ての攻撃がクリティカルヒット(会心の一撃)になるようなものである。
さらに、特筆すべきは理不尽なほどの超速再生能力。
並みの太刀傷なら瞬時に再生し、腕や足が落とされても瞬く間に生える。
近接戦闘を得意とする猗窩座にとって、傷を負うことは手数の減少につながるが、この再生能力のために傷を負ってもほとんど手数が減ることがなく、高い戦闘能力を維持し続けることができる。
常に万全の状態から強力な攻撃を延々と放ち続け、ひたすら戦い続ける猗窩座を、義勇は「この男は修羅だ」「戦うこと以外すべて捨てた男だ」と評した(第18巻152話)。
柱に匹敵する実力を持つ炭治郎、痣を発現した義勇の二人がかりでも戦況を互角に持ち込むのがやっとで、超速再生能力のせいでただ手数を増やしても意味がないという理不尽の権化のような存在。
炭治郎に頚を斬られたが、勝利への執念により頚を斬られても死なないという反則的な進化を遂げかけたが、記憶を取り戻し、無惨の呪いから解放されたことで敗北を受け入れ、消滅した。
この際、黒死牟は「更なる高みへの…開けた道をも…自ら放棄するとは…」、童磨は「猗窩座殿が何か別の生き物になるような…」と語っており、ただの鬼にとどまらない別の何かへの進化であったことが示唆されている(第18巻157話)。
最終的には敗北を受け入れて消滅したが、勝利への執念にとらわれて戦い続けていた場合、炭治郎、義勇両名の消耗が限界に達していたことから、あっという間に止めを刺されていたであろうことは確実で、その上更なる高みに達して手のつけようもない存在になってしまう可能性があった。
結果的にそうはならなかったものの、十分以上に強大な力を持ちながら、上弦の参の肩書以上の可能性を秘めた存在であったと言える。