上弦の参・猗窩座(あかざ)【鬼滅の刃】

無惨直属の十二人の十二鬼月の一人。

位は上弦の参。

血鬼術(けっきじゅつ)

多くの人を喰ったが使用する異能の術。

猗窩座の使用する血鬼術は、攻撃能力がないというとしては極めて異質な特徴を持つ。

そのため、血鬼術の攻撃能力を戦闘の核とする多くのとは戦闘スタイルが大きく異なり、血鬼術によるサポートこそありつつも、あくまでも自身の身体能力と戦闘技術で戦うというどこか人間じみた戦いを展開するという点で、それまでに登場したとは一線を画す

なお、破壊殺全般は厳密には血鬼術ではなく血鬼術と徒手空拳の戦闘技術のあわせ技である。

厳密に血鬼術と呼べる技は破壊殺・羅針のみ

破壊殺・羅針(はかいさつ・らしん)

「術式展開」により自身の周囲の闘気を感知する血鬼術

杏寿郎との戦いにおいて使用(第8巻63話)。

破壊殺(はかいさつ)

破壊殺・羅針を術式展開し、敵の闘気を感知しながら放つ格闘術。

感知した闘気に向けて技を放つため、技の精度が異常に高く、全ての攻撃が致命傷になる正しく必殺技。

破壊殺・空式(はかいさつ・くうしき)

虚空を拳で打ち、遠距離に攻撃を放つ技。

刀で頚を斬らなければ勝てない剣士にとって極めて相性の悪い技。

杏寿郎盛炎のうねりで迎撃された(第8巻63話)。

破壊殺・乱式(はかいさつ・らんしき)

衝撃波を伴う無数の打撃を乱れ撃つ技。

杏寿郎炎虎と打ち合い、杏寿郎に重症を与えた(第8巻63話)。

破壊殺・滅式(はかいさつ・めっしき)

拳の打撃を連続で放つ技。

杏寿郎煉獄に打ち勝ち、杏寿郎に致命傷を与えた(第8巻64話)。

破壊殺・脚式 冠先割(はかいさつ・きゃくしき かむろさきわり)

背後にいる敵を後ろ足に蹴り上げる足技。

炭治郎炎舞に対して放ち、刀で受けたはずの炭治郎にダメージを与えた(第17巻148話)。

破壊殺・脚式 流閃群光(はかいさつ・きゃくしき りゅうせんぐんこう)

瞬間的に連続蹴りを放つ足技。

その威力は凄まじく、蹴られた相手は何枚も壁を突き破りながら吹き飛ばされる。

義勇に対して放ち、遠方まで吹き飛ばした(第17巻148話)。

破壊殺 鬼芯八重芯(はかいさつ きしんやえしん)

拳で多数の打撃を広範囲に放つ技。

技の系統としては、破壊殺・乱式に近い。正式には「破壊殺・乱式 鬼芯八重芯」であろうか。

炭治郎灼骨炎陽と打ち合った(第17巻148話)。

破壊殺・砕式 万葉閃柳(はかいさつ・さいしき まんようせんやなぎ)

地面に向け振り下ろすように放たれる単発の打撃技。

途轍もない威力を誇り、この一撃でmugenjoの床に小さなクレーターができるほど。

炭治郎に対して放ち、躱されはしたものの、地面にクレーターを作り、その威力を見せつけた(第17巻149話)。

破壊殺・脚式 飛遊星千輪(はかいさつ・きゃくしき ひゅうせいせんりん)

螺旋状の衝撃を伴う上段蹴り。

防御しても尚防ぎきれないダメージを与える。

炭治郎に対して放ち、刀で受けられたもののダメージを与えた(第17巻149話)。

終式 青銀乱残光(しゅうしき あおぎんらんざんこう)

ほぼ同時に百発の乱れ打ちを放つ不可避の技。

正式名称はおそらく「破壊殺・終式 青銀乱残光」。

を発現した義勇をもってしても受けきれなかった(第18巻152話)。

戦闘能力考察

上弦の参の肩書に恥じない圧倒的な強さを誇るが、これまで出てきたたちとは何かと趣が異なる。

まず、基本の戦闘スタイルが徒手空拳による近接戦闘であり、血鬼術を戦闘の中心とするが多くいる中で、かなりの異端である。

長い歳月をかけて培われた高い戦闘能力のため、ただシンプルに強くて速いという、最も攻略するのに骨が折れるタイプの戦法である。

しかもそれにとどまらず、破壊殺・羅針による闘気の感知により、敵の攻撃に対する反応が異常に速く、まともに攻撃を加えるだけでも一苦労である。

また、闘気の感知の精度に加えて相当な器用さを併せ持ち、

  • 振り下ろされる刀を白刃取りする
  • 背後から斬りかかられた刀を後ろを向いたまま指で掴み取る
  • 振り下ろされる刀を側面から殴り折る

など、瞬時の判断が要求される場面で尋常ではない精密動作を行っている。

闘気の感知と精密動作が合わさったことにより、持ち前の高い身体能力と戦闘技術により繰り出される攻撃が、ただ強く、速いだけでなく、やたらと正確な攻撃へと変貌し、通常であればただ強力なだけの攻撃全てが一撃必殺の重みをもつ。ゲームで例えるなら、全ての攻撃がクリティカルヒット(会心の一撃)になるようなものである。

さらに、特筆すべきは理不尽なほどの超速再生能力。

並みの太刀傷なら瞬時に再生し、腕や足が落とされても瞬く間に生える。

近接戦闘を得意とする猗窩座にとって、傷を負うことは手数の減少につながるが、この再生能力のために傷を負ってもほとんど手数が減ることがなく、高い戦闘能力を維持し続けることができる。

常に万全の状態から強力な攻撃を延々と放ち続け、ひたすら戦い続ける猗窩座を、義勇は「この男は修羅だ」「戦うこと以外すべて捨てた男だ」と評した(第18巻152話)。

に匹敵する実力を持つ炭治郎を発現した義勇の二人がかりでも戦況を互角に持ち込むのがやっとで、超速再生能力のせいでただ手数を増やしても意味がないという理不尽の権化のような存在。

炭治郎に頚を斬られたが、勝利への執念により頚を斬られても死なないという反則的な進化を遂げかけたが、記憶を取り戻し、無惨の呪いから解放されたことで敗北を受け入れ、消滅した。

この際、黒死牟は「更なる高みへの…開けた道をも…自ら放棄するとは…」、童磨は「猗窩座殿が何か別の生き物になるような…」と語っており、ただのにとどまらない別の何かへの進化であったことが示唆されている(第18巻157話)。

最終的には敗北を受け入れて消滅したが、勝利への執念にとらわれて戦い続けていた場合、炭治郎義勇両名の消耗が限界に達していたことから、あっという間に止めを刺されていたであろうことは確実で、その上更なる高みに達して手のつけようもない存在になってしまう可能性があった。

結果的にそうはならなかったものの、十分以上に強大な力を持ちながら、上弦の参の肩書以上の可能性を秘めた存在であったと言える。